ヴェルニゲローデ その二

その後、完全にほったらかしていたヴェルニゲローデ紀行を再開します。



こちらはSchiefes Haus、日本語だと「傾きの家」といったところだろうか。写真からは伝わりにくいが、7度手前側に傾いている。それはピサの斜塔の倍程度ということらしいのだが、建物の形からして見た目の印象に欠けるのは否めない。

1680年に縮絨工場として作られた建物で、その後、脇にある用水路の水が原因となって少しずつ傾いていったらしい。現在では博物館になっている。内側に入ってみると、その傾きをより体感できたのかもしれない。



町庁舎に並んで、この町のもう一つのシンボルであるヴェルニゲローデ城。12世紀に初めて築かれた城で、当初はドイツの王様がハルツの森へ狩りに出かける際の拠点として、その後は伯爵の居城として使用された。そして1930年より一般に公開されるようになって今に至る。増改築が何度も行われたということもあってか、建物の部分部分で特徴が異なっているのが面白い。

泊まった宿はこの丘の麓にあり、宿のオーナーから裏口の鍵を借りて直接丘に登って散策ができた。



ヴェルニゲローデ城の丘から眺めた夕暮れ時のブロッケン山。「ブロッケン」と言う名前は日本人にも馴染みのあるものだと思う。キン肉マンに出てくる超人ブロッケンマン&ブロッケンJr.、またブロッケン現象。そしてブロッケンと言えばやはり、ファウストだろう。ファウストのハイライトの一つであるヴァルプルギスの夜はこの山が舞台となった。

毎年4月30日の夜から5日1日にかけて、このブロッケン山に魔女たちが集まってきて春の到来を祝うという。

ヴァルプルギスの夜について
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァルプルギスの夜

僕は最近、神話や民俗学にも興味が出てきていて、日本の古事記を読んでみたり、いずれは柳田国男にも挑戦したいと思っている。それもまあ、早くて数年後の話。その流れで童話、ドイツだとグリム童話なんかを熟読してみたい。グリム兄弟の足跡を辿りながら、彼らの遺したメルヘンを読む旅をいつかしたいと思っている。



ディナー。一人旅なので一人でレストランで食事。普段は一人でこんなことはしないのだが、今回はなんとなくその気になった。鹿の肉です。それとシュペッツレという小麦粉と卵をベースに捏ねて作る、ドイツの伝統的な麺。ヴェルニゲローデはハルツの森に隣接しているので、鹿とか猪なんかがここの特産となっているようだ。

この料理が、なのか、鹿肉がそもそもそうなのか、モソモソとした食感で、一度食べたらもういいかな、という印象。



日が変わって、この町の大きな目玉である蒸気機関車に乗ってみる。ヴェルニゲローデはブロッケン山への始発駅となっていて、このSL目当てで訪れる客も多い。SLには日本でも乗った記憶がないので、何気に生涯で初めての経験かもしれない。蒸気や水しぶき、そしてなにより汽笛を鳴らしながら走る様はなかなか味わい深いものがあった。



今回は時間がなかったのでブロッケン山まで行かずに途中下車。実際にブロッケン山の頂上にはそれほど見どころもなく、往復運賃もやけに高いので、またの機会に譲った。



とは言っても、途中下車したドライ・アーネン・ホーネという駅は国立公園の入り口となっていて、ハルツの森を散策できる。森にはまだ雪が多く残っていて、久しぶりに木々に囲まれた中、雪の上を歩いた。天気は快晴、風もなく、鳥のさえずり、沢の水の音と、実に快適な散歩だった。


おしまい



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