2012年12月16日日曜日

【衆院選ガイド5】考えること、感情


陸前高田の奇跡の一本松


これを書いているのは夜中ですが、日本ではいよいよ投票日当日を迎えました。
投票が未だの方は、投票よろしくお願いします。


1.自分の目で見て考えて判断する

今週一週間は僕にとっても色々な事を考えることができた、貴重な時間となりました。

正直言って、こういう政治の話をすることにためらいが無かった訳ではありません。特に日本においては酒の席とかでも政治の話をする人間ってどちらかというと場の空気を読めない奴、と見られがちで、話をしたとしても自分も含めて聞きかじりの情報を頼りに議論するのであまり生産性が無かったりします。

実際に情報というのはどこまで行っても信用がならないものでもあるし、また、ひとつの情報に対して様々な解釈というものも存在します。

なので今回は僕の得た情報の紹介というのは最小限に抑えて、その分、自分の目で見て考えて判断する、という非常に労力の要る、しかしとても大事だと考える点を強調したつもりです。

でも今度はその判断基準は何だという問題が出てきます。それはその人の価値観だったり世界観だったりによって大きく変わってくる所かもしれませんが、例えば僕なんかは「それは特定の一部の人間ではなく、国民全体にとっていい政策かどうか」というバランスをなるべく意識して判断するようにしています。

そうは言っても僕自身、自分の判断に確固とした自信があるわけではありませんし、常に自問自答を繰り返しています。完璧な答えというものに辿り着くのは不可能に近いかもしれない、でも近づこうと努力することはできると思います。


そういった意味でも、今回のように言葉を使って人に何かを伝えるという作業は、大変ではあったけれど、その過程で色々な気付きがあって、自分自身かなり勉強になりました。同時に、自分はいかに「知らないのか」ということにも気づかされました。


あと個人的には一つの記事を書くのは一枚の絵を描くのと同じくらいかそれ以上のエネルギーを必要とするということも分かって、これも表現の一つなのだというのが実感としてあります。


2.感情を煽る人たち

もうひとつ大事だなと感じたのは、こういった政治の話を論じる時、安易な感情論には気をつけた方がいいということです。

人間は感情の生き物で、感情というのはとても大切なのは言うまでもありません。しかし、逆に言うとこの世の中はその感情によって動かされていると言っても言い過ぎではないでしょう。恨みや妬みは常に争いの種ですし、それが国同士だと最悪戦争にまで発展します。人の考えを変えさせるには、感情に訴えるのが一番手っ取り早い。

冷静な議論をすればおよそ賛同できないような考えでも、感情はそのプロセスをすっ飛ばすことができる。僕がこれまで何度も繰り返してきた「耳障りのいい政策」というのも、感情に訴えるものがほとんどではないかと思っています。


3.終わりに

これで僕の今回の選挙に関する考察は終了となります。
稚拙な文章ではありましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


先月の新聞プロジェクトが終わって直ぐに選挙戦に突入したので、僕も仕事以外はほとんどの時間をこの考察に費やしてきました。明日からはまた普段の生活に戻りたいと思います。と言ってもドイツは今クリスマス一色となっていて、街はライトアップされ、そわそわした雰囲気です。僕も24日はドイツ人の夕食に招待されたので、今年はクリスマスを味わいたいと思います。


最後になりますが、新しい政権による、一刻も早い震災からの復興、インフラの再整備、そして拉致被害者の方の救出の実現を強く強く祈念して。




2012年12月15日土曜日

【衆院選ガイド4】優先順位と消去法


写真は今年の5月に撮影した気仙沼の様子です。


僕がノロノロと更新をしている間にも、選挙日が明日に迫ってきました。
書きたいことは他にも山程ありますが、なかなか思うように筆が進まないという歯がゆさがあります。


さて、ここまで来て薄々気が付いていたのですが、今回の記事にはどの位の人が付いて来ているのでしょうか。自分で読み返してみても、ああ文章がなげえなあと思うわけです。この文章を読んでくれている人がいるなら、それだけで既に十分政治に関心がある方なのだろうと思います。

「ああ何か難しくて面倒くせえ」と投げ出すのは簡単で、「原発反対、他のことは知らない、終了!」で思考を打ち切るのも簡単なんですよね。

しかし政治っていうものは相当複雑な世界なので、おいそれと簡単に語ることが出来ないのも事実でして、そこにジレンマがあったりするんですよね。僕も政治に関する知識はネットで集めているだけなので大したことはありませんが、それでも知れば知るほど、政治は奥が深くて容易ならざるものだと思い知らされます。


気を取り直して本日のメニューです。


4.入手した情報からどうやって判断するか
5.投票したいと思える政党、候補者がいないという苦しみ


ちなみに、今回は内容の性質上、僕の意見、考えが多分に含まれていますので、その点も考慮した上でお読みいただけたらと思います。


4.入手した情報からどうやって判断するか

前回までで、必要な情報はどこにあるのか、僕なりに考えたものをご紹介しました。ここではその情報を元にどういった判断ができそうかを論じて行きたいと思います。
この章ではさらに3つの項目に分けて考えてみます。


①耳障りのいい言葉には要注意、実現性がどこまであるのか
②その政党が政権を取ったらどうなるかを想像する
③政策には優先順位がある


①耳障りのいい言葉には要注意、実現性はどこまであるか

「言うは易し行うは難し」。

これはこの3年間の民主党政権で僕達が散々思いしらされたことなのではないでしょうか。

財源はあると言って大風呂敷を広げたマニュフェストであったけれど、蓋を開けてみれば、麻生政権で散々切り詰めた後だったので埋蔵金はどこにも無く、計上された予算は自民党時代よりも増えてしまっていました。沖縄にある米軍の基地の問題では、「最低でも県外」「腹案がある」「トラストミー」と大見栄を切っては見たものの、その結果は両国の関係を無駄に悪化させただけでした。

唯一の成果として今回のマニュフェストにも載っているのが公共事業の削減で、全体の3割も無駄をカットしたと言っていますが、それも先日の笹子トンネル崩落事故に象徴されるように、インフラの老朽化と来たる大地震に備えるための対策を怠っていた罪は大きいと思います。

この民主党政権のマニュフェストについては前回の時点で既に多くの批判がありました。つまり、選挙に勝つためだけに国民受けをしそうな政策ばかりを表看板に据えて、その実現性を党内できちんと議論していないのではないかと。本当に詐欺師の如く国民を騙そうとしたかどうかはともかく、結果は上に挙げた通り、散々なものでした。

景気対策、災害対応、公共インフラの維持管理など、政治の舵取り如何によって、人の命は左右されます。
そういった意味では、前回の選挙の教訓を生かすことが大切だと強く思います。


②その政党が政権を取ったらどうなるかを想像する

これも①と関連していますが、元々考え方が別々の人たちが選挙の直前に集まって作った政党というのは、僕としてはかなり疑ってかかりたいと思います。

理由は単純に選挙目当てで集まって来ただけに見えてしまうからです。「中央集権打倒」でも「卒原発」でも何でもいいのですが、その一点でまとまることは出来ても、政治課題はその他に山程あります。そういう政党は、最初の勢いがある間はいいかも知れませんが、求心力が低くなってくると、元々考え方が違う人達なので、また直ぐにバラバラになる可能性が極めて高いと言えると思います。ちなみに日本未来の党については、そのほとんどが民主党から離党した政治家で構成されています。

そもそも僕としては政党を作る以上、その前に政治家同士で十分に議論を重ねて欲しいと思う訳です。そして今の日本が抱える諸問題、それは必ずしも票につながるものだけではなく、細々とした所まで、意見を詰めて欲しい、その上で、志の共有できる人間で政党を作って欲しい。

これは一つの理想かも知れませんが、選挙の度に離合集散し、国民を騙し自分の心も騙しているようだと、いつまでたっても政治に対する信頼は取り戻せないし、そういう国民は不幸だと思います。だから僕達国民が、そういう茶番は通用しないということを示す必要があるのではないでしょうか。


③政策には優先順位がある

これも当たり前のことなのですが、取り組むべき課題には今直ぐにでも実行に移さなければならないものと、長い時間を掛けて少しずつ行なっていくものとがあります。

・震災復興とインフラ整備(国土強靭化)
・景気対策(デフレからの脱却、金融緩和、財政出動)
・教育改革(いじめ問題、日本は悪い国だという一方的な自虐史観の見直し)
・外交安全保障、防衛問題(拉致被害者の救出、領土問題)
・社会保証制度の見直し
・エネルギー政策の見直し(原発、化石燃料、再生可能エネルギー)
・地方の再生(地方分散)
・第一次産業(農林水産業)の活性化
・政治・行政・公務員改革
・憲法改正(戦後体制からの脱却)

上記は自民党の政権公約を参考にした、次の政権が取り組むべき課題の一部です(ここではその内容の是非を論評するものではありません)。


・何よりも被災地の復興、国土の強靭化、そして景気対策

この中で、例えば僕は何よりも震災からの復興、そしてインフラの再整備が最優先課題だと考えます。そしてその為に必要なのがデフレからの脱却、景気対策でしょう。言うまでもなく震災によって故郷を失った方々が一刻でも早く地元に戻ってもらえるよう、国は全力を挙げなければなりません。しかし前政権では震災の復興に計上された15兆円のうち、たった2兆円しか執行していないという話があります。

またインフラ整備についても、施設の老朽化と目前に迫っている大地震への対策が急務なのにもかかわらず、公共事業への投資はもう古いだとか、単なるバラマキだとか、完全に当ての外れた批判が未だに横行しています。そういう人たちには果たして僕達国民の生命・財産を思う気持ちはあるのでしょうか。

国民の生命・財産を守るという意味では拉致事件への取り組みも優先順位は高いはずです。数十年も前に北朝鮮から誘拐された日本人は100人以上いると言われていて、彼らは今この瞬間も日本から救援が来るのを信じて待っていることでしょう。

拉致問題を解決に導くためには、僕達には何ができるでしょうか。これまでと同じように6ヶ国協議を通じていたずらに時間を掛けて交渉するのが本当の解決への道なのでしょうか。こうしている間にも、拉致された方、そしてそのご家族も年齢を重ねて行きます。つい最近も、ある被害者の方のお母さんがお亡くなりになりました。

日本は平和だと言われてきましたが、自分の国の人間を拉致されて助けることも出来ないのです。また領土問題もそうです。これの一体どこが平和だと言えるのでしょうか。少し踏み込んだ発言をすると、憲法9条によって、僕たちの国は本当に平和に守られて来たのでしょうか。

僕は少なくとも自分の国は自分で守れるような国になるべきだと考えるので、その為に必要なことを考えていきたいと思います。


・原発、エネルギー問題について

一部の人達が盛んに争点にしようとしている、原発問題についてですが、もちろんこれも重要なテーマですが、上記の課題に比べると優先順位は低いと僕は考えています。

理由は2つあって、1つはいずれの政党もその期間に差はあれど、将来的な脱原発で一致しているため争点にはなりにくいということ。

2つ目は、脱原発への期間を設定するよりも、まずはより開かれた国民的議論が必要だと考えるからです。

ご周知の通り、原子力発電の性質上、発電を停止したからと言って事故のリスクが無くなる訳ではありません。冷却期間だけでも数十年かかると言われている訳で、いずれにしても長い時間をかけて向き合っていかなければならないこの問題を、今この選挙でメインのテーマとして扱うのは相応しくないと考えます(まずは景気対策、デフレからの脱却が先と考えるから)。それよりだったらこれ以上原発事故が起きないように、まずは徹底した津波対策と耐震化、そして老朽化のチェックが最優先だと僕は考えます。

原発が無くても電力が足りているという話を耳にしますが、それは家の中で電気を節約しただけで実現しているのでしょうか。その一方で化石燃料を外国から法外な値段で購入したり、電力を大量に使う企業がどれだけ身銭を切っているか、そういった問題も含めて論じられることは極めて少ないと思います。電気料金の値段がこれ以上高くなれば、企業の中には海外移転を考える所も出てくるでしょう。これで就職先が無くて困っている人、低賃金で働かされている人に何のプラスがあるでしょうか。むしろ景気にとってはマイナスになる可能性が高いと言えると思います。

もちろん放射能のリスクも恐いし、政府の言っていることは信用出来ないし、電力会社の体質も気に入らいないという感情も理解できます。そういった意味からも、次の政権には、まずは国土の強靭化、そして景気対策をしっかりしてもらい、その上で色んな立場の人、専門家、技術者を集めて、日本のこれからのエネルギー政策について腰を据えて議論を深めて行くべきではないかと考えます。


このように、専門的知識の無い僕のような者であっても、今この国にとって喫緊の課題は何かを自分なりに考えてみることはできますし、その上で各政党が何を言っているかを見比べて見ることで、投票する先を決める大きな手かがりとなるのではないでしょうか。

もちろん、ここで僕が挙げた景気対策以外の政策が全く受け入れられないとか、それ自体が単なる得票を目当ての政策だという考え方もあるでしょう。僕も自分が支持をする政党の公約が全て正しいとは思いません。ただ、僕にはここで全ての政策に対して細かく論じる余裕が無いので、その政策のバランスについては各自判断していただきたいと思います。


5.投票したいと思える政党、候補者がいないという苦しみ

これまで今回の選挙について、色々と論じてきましたが、それでもやっぱり政治家は信用出来ない、どの政党も同じに見える、そもそも政治に関心が持てない、という人がいるかと思います。

ただし、だからと言って大切な権利である選挙権を放棄するのだけは避けていただきたいと願います。それは前回述べた投票率との関係ということもあるのですが、そもそも政治とは妥協の産物であると僕は考えるからです。

この世には完璧な人間もいなければ完璧な政党も無いでしょう。また、各政治家は国全体の事を考えるという以外に、その地域、組織、団体の利権を守る、もしくは獲得するという使命も背負って国会にやって来ます。そしてその利益は当然人によって違います。そういう人達の集まりが国会で、表では議会でお互いの権益を主張し合い、裏ではまた料亭かどこかで様々な方法で取引も行われているのでしょう。それは国同士の話し合いでも同じで、外交においてはどの地点まで譲れるか、絶対に譲れないものは何かを設定し、交渉が行われているのだと思います。

白か黒かがハッキリしていれば分かり易い、でも現実の政治は僕たちの想像が追いつかないくらいもっと複雑でしょう。そのこんがらがった糸の塊を一つ一つ解いていくような作業である政治について、僕達一人ひとりもその責任の一端を担っているという事を考えるべきだと僕は思います。


政治は簡単じゃないし、また簡単であってはいけない。


僕の文章が堅くてだらだらと長くなってしまうのも、文章力が低いということを差し引いても、政治について語るのが簡単ではないからだと思います。

だから選挙において、いいと思える政党、政治家がいない場合は、各政党を見比べてみて、一番「まし」なところを選ぶという以外ないのかも知れません。言ってしまえば消去法ですが、その消去していく作業自体がとても大事なのではないでしょうか。

考えるのが面倒になって、簡単な答えを求めるその心の隙間を狙っている人たちが存在する以上、投げ出さず、考えて行けたらと思います。



出来れば明日の朝までにもう一本、まとめの記事を掲載したいと思っています。

続きます。



2012年12月13日木曜日

【衆院選ガイド3】選挙に求められる姿勢

(題名を【衆院選ガイド】に変更しました。)



一日空いてしまいました。
このペースで選挙の日までに終わるか不安になって来ましたが、駆け足で参りたいと思います。



さて、前回は大手新聞社やマスコミから提供される情報について、その危険な側面を指摘しました。

それでは選挙に臨むにあたって、僕たちは何を基準に政党や候補者を選ぶことが出来るのかを具体的に考えてみたいと思います。

そこで、本日のメニューです。


1.どうして選挙に行かなければならないのか
2.僕たちが選挙で選ぶのは、政党と政治家
3.信用できる情報はどこにあるのか


それではひとつずつ考えていきましょう。


1.どうして選挙に行かなければならないのか。

まずは候補者選びの前に、そもそもどうして選挙に行くべきなのでしょうか。

その理由はいくつか考えられますが、ここでは投票率と組織票の関係から論じてみたいと思います。

選挙というのは僕たち国民の思いを政治家に託す行為である訳ですが、ご承知の通り、現実には組織の力が大きく、とても大きく影響しています。各政党ごとに支持母体というのがあり、それは労働組合であったり、農業団体であったり医師会であったり、宗教団体などいろいろありますが、その規模の大小はあれど、影響力は強大です。特に経団連などは平気で政治に対して圧力をかけてきます。

各政党はそういった組織に支えられて、常に一定の議席数を得ている訳です。組織に属する彼らはいつの選挙においても組織としての動員がかかっているので、高確率で選挙に行きます。そして組織の意志として支持する政党に投票をします(もちろん全部が全部そうだとも言えないでしょうし、また、組織として支持政党を変えることもあります)。

個人的には、組織票と年配の方の票はかなり重なっている部分があると考えています(年を重ねるに従って何かの組織に属する可能性が高くなるので)。

それと別に、組織に属していない者として、個人の票と言うのは「浮動票」、もしくは「無党派層」という呼ばれ方をしています。そして毎度の選挙の際にマスコミは「浮動票がどう動くか」や「無党派層の取り込み次第」などと言って組織と個人を分けて報道しています。

そしてこの組織に属さない人たちは、特に若者や主婦層に多いと思うのですが、政治には信用が出来ないと言って(確かにその通りの部分もありますが)、選挙に行くかどうかはかなり気まぐれです。というか基本的には大半の人が行かないと言っていいでしょう。


ここに投票率の高さと組織の影響力という関係が出てくるのです。


もうお分かりだと思いますが、組織の人たちはいつの選挙でもほぼ確実に投票に行くので、全体の投票率が低いと、彼らの影響力はぐっと高まります。逆に、無党派の人たちがたくさん選挙に行って、全体の投票率が上がると組織の影響というのは相対的に薄まります。

僕は単純に組織の存在が悪いと言いたい訳ではありません。彼らは彼らでその組織の利益を代表してくれる政治家、政党を選んでいる訳で、その業界を守る為には必要なことでもありましょう。ただ、彼らは自分たちの利益に関わるものには熱心ですが、それ以外の分野についてはあまり関心が無いとも言える訳で、その調整というかバランスを無党派層と呼ばれる個人が取るべきではないかと僕は考えるのです。

その為にも、組織票を薄める程の個人の投票というのはとても大事で、そういった意味からも、どんなに政治に興味が無くても、選挙区にろくな政治家がいなくても、面倒臭くても苦しくても、それでも選挙には行かなければならないのだと思います。

ただ、そこで再三注意しておきたいのが、マスコミの報道、そして世間の空気です(「世論」というものも、その大半はマスコミによって作られていると考えても差し支えないと思います)。彼らは普段政治に関心の薄い無党派層に対して、いかにも耳障りのいい言葉によって世論誘導をしかけてくるので、気をつけるに越したことはありません。

そういう空気に振り回されない、一定の常識を持ち、国全体のことを考えられる「大多数の無党派層」、吉田松陰の言葉を借りれば「草莽の志士(草の根、在野の人間達)」が立ち上がって政治を動かす事が何よりも大事ではないかと僕は考えます。

(「常識」とは何かについては、それを論じるだけでかなりの分量になるので、また別の機会に譲ります。)

そうは言っても、時間も情報も限られた中で、実際には何を基準にして選挙に望めばいいのでしょうか。これはとてつもなく難しい問題です。

ということで、その基準となりそうなものを考えて行きましょう。



2.僕たちが選挙で選ぶのは、政党と政治家

当たり前の事ですが、今回僕達が投票所で選ぶのは、小選挙区から一人の政治家、そして比例代表から一つの政党となっています。そして政治家はそのほとんどがいずれかの政党に属していて、その他に無所属という方もいます。

(最高裁の裁判官の国民審査もありますが、ここでは国政選挙に絞ります。こちらの審査の制度はみなさんがお感じの通り、何の判断材料も提示されない極めていい加減な仕組みとなっていると思っています。)



3.信用できる情報はどこにあるのか

・政党の情報

そしてこれまた当然の事ながら、各政党には「政権公約」「マニュフェスト」などと名付けられた公約というものがあります。そして各候補者にもそれぞれの主張があります。

さて、ここで僕からの提案なのですが、みなさんにも自分の目で各政党の公約、各候補者の主張を直接ご覧になっていただきたいと思います。

選挙を取り扱っている報道各社のサイトでは、各政党の主張が比較されていて、見比べる上ではひとつの参考になると思います。しかしながら、そこに載っている文章はスペースの都合上ということもあるでしょうが、一部のみを切り取って掲載している場合がほとんどです。まるごとそのまま掲載しているのであればいいのですが、そうではない。それは誰かの手によって既に編集されたものなのです。

また、酷い場合だと、単純に「増税に賛成か反対か」、「TPPに賛成か反対か」、「原発は推進か撤廃か」、など幾つかの争点だけに絞って簡単な表を作っているページも見かけますが、これについても大いに注意する必要があるでしょう。

これは各政党の主張とも重なって来ますが、物事はそんなに単純では無いからです。後でも述べたいと思いますが、問題の単純化というものは、その周りにある複雑な事柄をすっ飛ばしてしまうので、その政党の意図を正確に伝えるどころか、誤った方向に持って行く可能性もあります。(またそれとは別に、最初から争点の単純化を狙っている政党もあります)


そこで、各政党の公約を簡単に集められるサイトがあるのでここに紹介しておきます。

選挙・議会・課題 政治情報プラットフォーム「政治山」
http://seijiyama.jp/special/shuinsen2012/party_hikaku.html

このサイトがどうという事ではなく、上記のページには各政党のHPや公約集のリンクが貼ってある為、容易に各政党のページに足を運べるようになっているというのがお薦めする点です。


・候補者の情報

次に候補者についてですが、ここからは各地域によって若干違いがあると思うので、ここでは僕の投票した選挙区(秋田1区)を例にして紹介したいと思います。

秋田1区
冨樫 博之 (57) 自民・新
寺田 学 (36) 民主・前
佐竹 良夫 (62) 共産・新
高松 和夫 (70) 未来・前
近江屋信広 (63) 維新・元

ここでもあくまでも直接彼らの主張を目にすることが大事です。地元にいるのであれば、候補者の演説を聞きにいくとか、事務所に直接質問をするなども出来ますが、僕は海外にいてそういう事が出来ないので、ネットから情報を集めました。


1.各候補者のHPを見る。

各候補者はそれぞれHPやブログ、ツイッターなどで情報発信をしていますが、選挙期間中は公職選挙法が適用されるため、更新は止まります。それでなくても元々更新をほとんどしていなかったり、主張が具体的に書かれていない場合が多いため、個人的にはあまり参考になりませんでした。みんな自分の事を良く見せるのは当然ですし。

2.地元の新聞のHPより、各候補者の主張を見る。

前回の記事では報道機関に注意しろと書きましたが、候補者の主張というものは編集されていない(はず)なので、参考にするならばここだと思います。地元紙を購読している方であれば、そこにも掲載されているでしょう。秋田だと魁新報という新聞が一番大きくて、僕もそこのHPを参考にしました。今見てみたら各候補者のインタビューも掲載されているので、こちらも見る価値がありそうです。

魁新報-2012あきた衆院選
http://www.sakigake.jp/p/special/12/shuinsen/


ということで、みなさんにも是非各政党の公約と各立候補者の主張を直接自分の目でご覧になっていただきたいと思います。


長くなって来たので回を分けます。
次回はその情報を元に、どう判断していくべきかを論じてみたいと思います。


続く


2012年12月11日火曜日

【衆院選ガイド2】マスコミ・報道機関についての考察





0.お断り

最初に断っておきますが、本記事はマスコミをいたずらに誹謗・中傷するのが目的ではありません。

また、これから僕が述べる内容は、主に政治・経済に関する報道におけるマスコミ論なので、その辺りを考慮して読んでいただければと思います。



僕たちの日本は民主主義国である以上、一人一人が独立してものを考え、議論をしていく必要があり、そのためには、マスコミからの情報を鵜呑みにせずに、そこから少し距離を取ることが必要であると僕は考えます。


1.インターネットとマスメディアの違い

どうしてマスコミの情報はそのまま鵜呑みにしてはいけないのでしょうか。

それは、マスコミは残念ながら公正・中立の立場で報道を行っていない可能性が大だからです。

・インターネット

僕は海外に住んでいるので、日本に関する情報はインターネットから得ています。もちろんご存知の通り、インターネットにも問題が無い訳ではありません。能動的な分、自分の好みの情報ばかりに目が行ってしまう危険性もありますし、気をつけて付き合わなければいとも簡単に情報に振り回されてしまいます。(突き詰めて考えると、そもそも情報というものにはどこまで信頼がおけるものなのか、という問題にぶつかります)

ただ、インターネットのいい所は、良くも悪くも個人が情報を発信ができるので、マスコミに比べて、自分が望みさえすればひとつの情報に対して様々な角度からアクセスが出来るということです。お陰で僕もテレビでは絶対に取り上げられることの無い意見や考え方、情報をインターネットから受け取ることが出来ています(繰り返しますが、僕のこの記事もその中のひとつの考え方に過ぎません)。


それに比べてテレビや新聞はどうでしょうか。


・マスメディア(テレビ、新聞等)

例えばあるテレビの報道番組において、コメンテーターと呼ばれる人たちが出ています。専門家と呼ばれる人が出ています。解説員という人が出ています。

この人たちはどういう基準でもって選ばれているのでしょうか?当たり前のことながら、インターネットのように、自分で出演を希望しても、局の方から依頼が無い限りその願いは叶いません。


また、新聞において、社説を書く論説委員という人がいて、記事を書く記者がいます。この人たちは当然その新聞社の人間です。その人たちとは別に、大学の教授をはじめとする専門家の人たちが出てきます。この人たちは誰に依頼されて記事を書くのでしょうか。

細かくは色々あるでしょうか、ざっくり言ってしまうと、その人選にはテレビ局であったり、その新聞社の意向が少なからず影響していると考えられます。そしてテレビ局の親会社は新聞社だったりします。つまり、僕らが普段目にする情報は、既に誰かによって振り分けをされたものである可能性が極めて高いのです(もちろん全てがそうだとは言っていません)。

もちろん、公共の電波に乗せるものである以上、ネットのように海千山千をそのまま流すわけには行かないのも事実ですし、そのためには情報の取捨選択は必要でしょう。

ただそれは僕たちと同じ人間の手によって行われている以上、そこにはバイアス、先入観や偏見というものがどうしても入ってしまうものです。また逆に、人間は機械ではないのでそれ自体は仕方が無いとも言えます。

しかし、逆にその報道機関に特定の政治思想であるとか、明確な主義主張があった場合、彼らはその媒体を通じて彼らにとって都合のいい情報を選択し、都合の悪い情報を取り上げないなど、意志さえあれば結構とんでも無いことが出来てしまうのも事実です。そこで働いている人の大半はそのような自覚が無くても、上層部にいる一部の人間に、意識的に動いている人がいれば、その組織の大枠は決まってしまいます。


ここに報道機関の持つ、重要な特徴があると思います。


2.マスコミ・報道機関の持つ危険な側面

これは僕が一人で思っていることでも何でもなく、マスコミの意図的な世論誘導は、実際にこれまでもずっと行われて来たことなのです。

最近でもある経済学者がテレビに出演する際の打ち合わせにおいて、局の人から彼の主張とは違う内容、「何とか財政破綻とハイパーインフレでお願いします」と言われていた事を明らかにしていました。その動画の中で彼は、テレビではある一定の考え方にそぐわないものを主張するのは非常に難しいので、その局の番組にはもう出れなくなる事を覚悟していると語っていました。(※1)


少し前だと、自民党の麻生さんが総理大臣の時、彼がホテルのバーで高いお酒を飲んでいたとか、カップラーメンの値段を知らないとかで、国民の気持ちが分からない総理だとして、マスコミは彼の事を散々叩きました。しかし政権交代の後、お母さんから小遣いを何億と貰っていた民主党の鳩山さんの時にはそういう報道の仕方はほとんどありませんでした。そして最近、安倍さんが自民党の総裁選挙で勝ったすぐの時、マスコミは再び彼が3500円のカツカレーを食べたことを取り上げ、庶民感覚が無いと批判をしていました。

これってかなり次元の低い話だと思いますが、そういう次元でも世論操作が行われていることは、ネットの世界ではむしろ広く知られているところです。


3.報道機関、大手新聞社は公正中立ではない

僕はそれぞれの新聞社に特定の主義・主張があるのはいたって自然なことだと思っています。ただ彼らについて問題だと思うことは、その主義や主張をやんわりと隠して、表向きはあたかも公正中立を装っていることです。だから僕たちも、「新聞がそう言っているんだから、そんなおかしなことは無いよな。」とガードを下げてしまいがちなのです。

ましてやどこかに疑問を感じていても、毎日のように同じニュースを続けて見て聞いていたら、だんだんその事が正しいことのように思えてくる事ということもあるでしょう。


そこに僕たちの判断を誤らせる大きな、というか最大の原因があるのだと思います。


本来であれば、各新聞社、報道機関には、自分の主義・主張を明確にし、支持をする政党まではっきり表明するのがフェアなやり方ではないでしょうか。

そうすれば僕たち一般国民も、その新聞の主張をひとつの考え方として距離を持って受け取ることが出来ると思います。


4.報道機関の闇の部分

そしてもうひとつ、こちらはより根の深い問題で、ゾッとするような話でもあるのですが、日本の大手新聞社は他の国の工作機関によって簡単に侵入、操作され易い環境にあるという事実です。

近年研究が進んでいる、ソ連時代に暗躍した諜報機関であるKGBに関する資料によると、実際に日本の大手新聞社はソ連によって操られていた事が明らかにされています。(※2)

簡単には信じ難い内容でもあり、ソ連自体が既に無くなっているので、それが現在もなお続いてるという事には直接繋がらない訳ですが、スパイを取り締まる法律が無く、また周りはおよそ友好国とは言えない国々に囲まれている日本としては、そういう工作活動が何も無いと考えることの方が難しいし、また、率直言って危険だと思います。相手の立場になって考えれば、これほど簡単に工作活動が出来る国も無い訳ですから。



このように、報道機関というものは良くも悪くも国民世論に大きな影響を与える分、そこを利用される可能性も出てくるということだと思います。僕たちはこういう報道機関、マスメディアの持つ危うい性質に注意をし、一定の距離を取る必要があるでしょう。

マスコミの情報から一定の距離を取るのはいいけど、では具体的に選挙についてどのように考えていくべきなのでしょうか。



次回に続きます





(※1)動画「飯田泰之氏腐りきったマスコミの実態を暴露!」
http://www.youtube.com/watch?v=EyevJUKucPU&NR=1&feature=endscreen

(※2)書籍「ミトロヒン文書 The Mitrokhin Archive II: The KGB and the World」
http://www.amazon.co.jp/The-Mitrokhin-Archive-II-World/dp/0713993596/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1352695347&sr=1-1

(※2)「藤井聡:メディア対する海外の諜報機関工作――ミトロヒン文書を読み解く」
以下にその資料の解説を転載します。元々は、藤井聡教授のfacebookのページに同様の記事が掲載されているのですが、その記事への直接のリンクが見当たらなかった為、そのまま転載させていただきます。興味のある方はお読み下さい。

※関係者の方で、こういう転載の仕方はまずいとかありましたら、お知らせください。

=====(「言志」原稿より抜粋)=====

藤井聡:メディア対する海外の諜報機関工作――ミトロヒン文書を読み解く、言志Vol. 4(2012)より抜粋。

<KGBの諜報活動についての最上級資料:ミトロヒン文書>

ミトロヒンとは、ソ連崩壊直後の1992年、ソ連からイギリスに亡命した元KGB職員である。彼は、イギリスの諜報機関MI6の助けを借りながらイギリスに亡命する時に、実に「6つの大きなコンテナ」に詰め込んだ機密文書を、MI6に手渡した。
このミトロヒン文書は、ソ連のKGBの諜報活動についての、文字通り「最上級の超一級史料」である。アメリカのFBIは、このミトロヒン文書について『これまでに得た情報では、最も完璧で、広範囲に亘り網羅している』と評し、同じくアメリカのCIAは『戦後最大の防諜情報の宝庫』と表現している。
さて、このコンテナ6箱分の大量の文書はその後、MI6を中心に分析が進められた。分析にあたっては、「諜報活動史」に関する学術研究を専門に取り扱っているケンブリッジ大学のインテリジェンスセミナーの一流の研究者をはじめとした世界中の英知が集められた。そしてその分析内容は、「Mitrokhin Archive」「Mitrokhin Archive II」という一般書にまとめられ、今や、誰もが入手できる一般の洋書として販売されている。
これらの書籍では、アメリカ、イギリスをはじめとした世界各国で、KGBがどの様な諜報活動を進めていたのかがまとめられている。そして、我が国日本におけるKGB活動の概要は、「Mitrokhin Archive II」の中の一つの章「JAPAN」に収められている。
その章「JAPAN」の中には、日本社会党や共産党に対してKGBがどれだけ直接的な支援を行ってきたか、政府の外務省の中にどういう工作員を潜入させ、その工作員の活動によって、日本の政治にどの様な影響を及ぼしてきたか、さらには、産業スパイをどの様な手口で行い、それによって、どの様な利益をソ連が得てきたのか――といった諸点についての分析結果が収められている。
そして、そうした情報の中に、「マスメディア」に対してKGBが展開してきた工作活動も明記されている。以下、その内容の翻訳を、いくつか紹介することとしよう。

<大手新聞社内部に潜入したKGB工作員による「世論工作」>

まず、KGBが、どの新聞社の中に工作員を潜入させてきたのかについては、以下のように明確に記述されている。

『Mitrokhin氏のファイルには、1970年代にKGBのエージェントして活動した、少なくとも5人の日本人記者の名前が挙がっている。(これには日本社会党の出版物は含まれない)
・朝日新聞の記者、コードネーム「BLYUM」
・読売新聞の記者、コードネーム「SEMYON」
・産経新聞の記者、コードネーム「KARL (またはKARLOV)」
・東京新聞の記者、コードネーム「FUDZIE」
・日本の主要紙の政治部の上席記者、コードネーム「ODEKI」』

中でもとりわけ、朝日新聞については、次のように記述されている。

『日本の最大手の新聞、朝日新聞にKGBは大きな影響力を持っている』

このことは、上記の「BLYUM」という朝日新聞内部の工作員が、朝日新聞内部で大きな影響力を持っていたこと、あるいは、BLYUM以外にも朝日新聞内部に複数の工作員が存在していた可能性を示している。
なお、上記の引用部でも(これには日本社会党の出版物は含まれない)と補足されているように、「日本社会党の出版物」についての工作が、中央新聞に対する工作よりもより容易であり、したがって、より徹底的に展開されていたことは、ここで附記するまでもないところである。実際、Mitrokhin Archive IIでは、

『中央部はセンター日本社会党の機関紙で発表するよりも、主要新聞で発表する方がインパクトが大きいと読んでいた』

と明記されている。この事は、KGB工作において、朝日新聞をはじめとした主要新聞への工作が重要な位置を占めていたという事実と共に、日本社会党の機関紙への工作はより容易であったことを暗示している。
いずれにしても、新聞各社における工作員のミッションは、「日本国民のソ連に対する国民意識を肯定化しよう」とするものであった。
例えば、かつてはソ連が日本の漁船を拿捕し、交流するという事件が頻繁に起こっていた。その拿捕は明白に不当なものであったのであるから、彼等が解放されるのは当然であったのだが、朝日新聞は次のように大きく報道したのだという。

『ソ連は本日、ソビエト領海違反の疑いで拘束されていた日本人漁師49人全員を解放すると発表した。ソビエト最高会議幹部会の会長と、日本の議会代表団訪問団のトップである石田博英との会談中に発表された』

ここに出てくる石田博英という人物はこのミトロヒン文書の中で、『日本社会党以外でKGBに関与した政治家の中で、最も有力なのは石田博英(コードネーム「HOOVER」)であった』と紹介されているKGB工作員である。つまりこの記事は、KGB工作員がソ連に赴き、日ソ交渉で「日本国民のために成果を上げた」かのような虚偽的な印象を与えると共に、ソ連側が日本に協力的になっているかのような、同じく虚偽的印象を与えようとした記事だったのである。いわば、KGBが画策した茶番を大きく報道し、ソ連に対する世論の肯定化を図る工作を、朝日新聞は展開したわけである。
ただし、こうした活動を行ったのは、朝日新聞だけではない。しばしば世論において朝日新聞と対立する産経新聞においても、次のようなKGB工作の存在が記載されている。

『最も重要であったのは、保守系の日刊紙、産経新聞の編集局次長で顧問であった山根卓二(カントコードネーム)である。レフチェンコ氏によると、山根氏は巧みに反ソビエトや反中国のナショナリズムに対して親ソビエト思想を隠しながら、東京の駐在員に対して強い影響を与えるエージェントであった』

このレフチェンコ氏というのは、KGBの工作員で、後に米国に亡命を果たした、ミトロヒン氏と同様に、KGBの諜報活動の実態を我々が理解する上で極めて重要な役割を果たした人物だ。
さらに驚くべき事に、KGBの工作員の規模は、数名という規模ではなかったことが、以下の下りから示されている。

『1972年の秋までには、東京の「LINE PR」の駐在員は31人のエージェントを抱え、24件の秘密保持契約を締結していた。特に日本人には世界で最も熱心に新聞を読む国民性があり、KGBが偽の統計情報等を新聞に流すことにより、中央部はソビエトの政治的リーダーシップに対する印象を植え付けようとした』
(筆者注:「LINE PR」というのは、KGBが内部の諜報組織である)

これは驚くべき数字である。日本のメディア関係組織に、数十人クラスで直接的工作員、契約的工作員が潜入していたのである。
なお、そこまでソ連側が、日本のメディアに食い込もうとしたのは言うまでもなく、上記文書に明記されているように、

『日本人には世界で最も熱心に新聞を読む国民性』

がある、という「事実」を、ソ連側が見切っていたからに他ならない。誠に愚かな事であるが、日本国民のメディアに対する無批判さが、KGBに活用されてしまっていたのである。

<大手新聞社内部に潜入したKGB工作員による「諜報活動」>

ただし、KGB側がメディアに接触したのは、「世論工作」のためだけではなく、「諜報活動」のためでもあった。メディア関係者の中でも特定のコネクションを持つ者は、なかなか一般には公開されない政府情報にアクセスできる、という特権が、一部のメディア関係者にはある。KGBは、こうしたメディアの特権を、工作に活用したのであった。

『日本の諜報情報の主要拠点である東京の駐在員が不在の1962年~67年の期間中、最も成果を上げたエージェントは、東京新聞のジャーナリスト、コードネーム「KOCHI」であった。彼は内閣や外務省のおそらく機密文書ではなかったが、相当上位のゴシップにアクセスできていた』

そして、興味深いことに、こうした諜報活動でKGB工作員が得た情報を、ソ連中央部に伝達する手段として、堂々と新聞紙面が活用されていた様子が以下の下りから示されている。

『ジャーナリストのROYが書いた記事は、諜報情報の連絡において非常に貴重であった』

以上に述べた世論工作、諜報活動とその伝達、という2つの種類の工作に加えて、日本人ジャーナリストのKGB工作員にとっての、3番目の重要なKGB工作として、さらなるKGB工作員の獲得活動が位置づけられていた事が、以下の下りから示されている。

『彼(筆者注:上述の工作員ROY)は中国で諜報活動を行った日本での諜報活動のパートナーでもあったKHUNの採用に尽力した』

<大手新聞各社内部の職員が、KGB工作員になっていった>

ではKGBは、どうやって大手新聞社に勤める、恐らくは普通の日本人の記者達を、KGBの工作員にする事に成功していったのだろうか。
この点について、Mitrokhin Archive IIでは、極めて端的に、次のように記載されている。

『メディアに属するKGBのエージェントの殆どは、主に動機が金目当てだったであろう。』

これは文字通り、大手新聞社内部の一部の職員は、明確に「売国奴」であったことを明らかにしている。
こうしたカネという動機に加えて、KGBは、大手新聞社の記者を「罠」にはめて、工作員化していく、という手口を活用していた様子が、次の下りに示されている。

『Mitrokhin氏の資料には、「SEMYON」については1970年代の初めにモスクワを訪問中、「彼は、不名誉な資料に基づいて採用されることとなった」とある。それは闇市場での通貨の両替と、不道徳な行動(KGBの「甘い罠」の1つである)であった』

ここに、先にも紹介したが「SEMYON」とは読売新聞に勤務する日本人KGB工作員だ。つまりこの読売新聞記者は、モスクワ訪問中に、大手新聞社内部の工作員を探していたKGBに目を付けられ、カネと女の罠を仕掛けられ、それ以後──KGBから契約を破棄されるまでの間──KGBの言うことを聞き続けなければならなくなってしまった訳である。

<国民は、メディアの外患行為を認識すべきである>

──以上、本稿では、FBIやCIAが、最上級の諜報資料であると認定し、ケンブリッジ大学の研究者が分析を加えた「ミトロヒン文書」に記載されているKGBによる日本の大手新聞社に対する「工作」に関する記述を紹介した。
ここまでお読みいただいた読者なら、日本の大手新聞社が、少なくともソ連が存在していた時期、どれだけKGBの工作によって歪められた情報を提供し続けていたかをご理解いただけたのではないかと思う。
もちろん、筆者がここで紹介した情報は、このミトロヒン文書に記述されたもの以上のものではない。そして今日、ロシアによって各新聞社や日本国内の各組織が何らかの諜報活動・工作を仕掛けられているのか否かということについての的確な情報を筆者は今、持ち得てはいない。ましてや、ソ連以外の、例えば、中国共産党、あるいは、同盟国、友好国の諜報機関からどの様な工作が、メディアに仕掛けられているのかについて断定的に語りうる資料を筆者は持ち得てはいない。さらには言うまでもなく、それぞれの新聞社の中に、KGBの工作に荷担しなかった大多数の人々がいたことは間違いない事実なのであろうと思う。
しかし、以上の「ミトロヒン文書」は、少なくとも以下の2つの事実の存在を、明確に示唆していると断定していいだろう。それは、

「日本の大手新聞社は、諸外国の諜報機関の重要なターゲットになりうる」

という事実、そしてもう1つは、

「日本の大手新聞社は、諸外国の諜報機関の工作員が容易に侵入し得る組織である。そしてそれ故に、“諸外国の諜報機関の意向に従った情報”、それは言うまでもなく“日本国民の利益を損なうであろう情報”を、意図も容易く国内に提供し続けるようになり得る存在である」

という事実である。 

----以上抜粋おわり----

2012年12月10日月曜日

【衆院選ガイド1】選挙について考える



本日ベルリンの日本大使館にて投票をしてきました。

今日のベルリンはあいにくの吹雪でしたが、よく考えたら吹雪の中を歩くのは随分久しぶりになるので、秋田の冬を思い出しながら、しんみりした気分に浸っていました。

国政選挙については、僕のような海外在住の人間も申請さえしておけば参加が出来るようになっていて、こちらは日本の投票日よりも一週間早くなっているようです。

こうして僕の選挙は終了した訳ですが、日本ではこれからが本番なので、今回は、僕なりに整理した選挙におけるポイントを紹介し、皆さんが投票する時の参考になればいいなと思います。



僕が選挙について書く理由


そもそも僕が今回どうしてこういう記事を書こうと思ったかと言うと、マスコミから発せられる情報があまりにも偏っていたり、または印象論をことさらに強調していたりしていて、このままでは投票の参考にならないどころか、そのままの情報を鵜呑みにするとむしろ判断を誤らせてしまう恐れがあるという危機感を持ったからです。

そして選挙において判断を間違えるとどうなるか、この3年間の民主党政権の中で、僕たちはそれを身にしみて経験したと思います。

平気で嘘をついたり騙した政治家ももちろん悪いのですが、さらに非難されるべきは、その時の「政権交代」や「コンクリートから人へ」という耳障りのいいスローガンに雰囲気でもって踊らされた僕たち自身なのではないでしょうか。

そういった反省も踏まえて、今回の選挙では少なくとも僕たち一人一人が、その立候補者と政党に対して、自信と責任を持って一票を投じることが出来るようになればいい、というのが、僕のささやかな願いです。



選挙に参加するにあたって注意するべき点はいくつもありますが、その中でも重要だと考えられるのが、以下の2点です。


1.マスコミからの情報は基本的に疑ってかかる

2.最低限必要な情報は自分の目で確かめる


そしてその先に、各政党、各立候補者が何を主張しているのかを具体的に見ていく必要があると思います。


次回からはその内容について言及していきたいと思います。



続きます