【衆院選ガイド3】選挙に求められる姿勢

(題名を【衆院選ガイド】に変更しました。)



一日空いてしまいました。
このペースで選挙の日までに終わるか不安になって来ましたが、駆け足で参りたいと思います。



さて、前回は大手新聞社やマスコミから提供される情報について、その危険な側面を指摘しました。

それでは選挙に臨むにあたって、僕たちは何を基準に政党や候補者を選ぶことが出来るのかを具体的に考えてみたいと思います。

そこで、本日のメニューです。


1.どうして選挙に行かなければならないのか
2.僕たちが選挙で選ぶのは、政党と政治家
3.信用できる情報はどこにあるのか


それではひとつずつ考えていきましょう。


1.どうして選挙に行かなければならないのか。

まずは候補者選びの前に、そもそもどうして選挙に行くべきなのでしょうか。

その理由はいくつか考えられますが、ここでは投票率と組織票の関係から論じてみたいと思います。

選挙というのは僕たち国民の思いを政治家に託す行為である訳ですが、ご承知の通り、現実には組織の力が大きく、とても大きく影響しています。各政党ごとに支持母体というのがあり、それは労働組合であったり、農業団体であったり医師会であったり、宗教団体などいろいろありますが、その規模の大小はあれど、影響力は強大です。特に経団連などは平気で政治に対して圧力をかけてきます。

各政党はそういった組織に支えられて、常に一定の議席数を得ている訳です。組織に属する彼らはいつの選挙においても組織としての動員がかかっているので、高確率で選挙に行きます。そして組織の意志として支持する政党に投票をします(もちろん全部が全部そうだとも言えないでしょうし、また、組織として支持政党を変えることもあります)。

個人的には、組織票と年配の方の票はかなり重なっている部分があると考えています(年を重ねるに従って何かの組織に属する可能性が高くなるので)。

それと別に、組織に属していない者として、個人の票と言うのは「浮動票」、もしくは「無党派層」という呼ばれ方をしています。そして毎度の選挙の際にマスコミは「浮動票がどう動くか」や「無党派層の取り込み次第」などと言って組織と個人を分けて報道しています。

そしてこの組織に属さない人たちは、特に若者や主婦層に多いと思うのですが、政治には信用が出来ないと言って(確かにその通りの部分もありますが)、選挙に行くかどうかはかなり気まぐれです。というか基本的には大半の人が行かないと言っていいでしょう。


ここに投票率の高さと組織の影響力という関係が出てくるのです。


もうお分かりだと思いますが、組織の人たちはいつの選挙でもほぼ確実に投票に行くので、全体の投票率が低いと、彼らの影響力はぐっと高まります。逆に、無党派の人たちがたくさん選挙に行って、全体の投票率が上がると組織の影響というのは相対的に薄まります。

僕は単純に組織の存在が悪いと言いたい訳ではありません。彼らは彼らでその組織の利益を代表してくれる政治家、政党を選んでいる訳で、その業界を守る為には必要なことでもありましょう。ただ、彼らは自分たちの利益に関わるものには熱心ですが、それ以外の分野についてはあまり関心が無いとも言える訳で、その調整というかバランスを無党派層と呼ばれる個人が取るべきではないかと僕は考えるのです。

その為にも、組織票を薄める程の個人の投票というのはとても大事で、そういった意味からも、どんなに政治に興味が無くても、選挙区にろくな政治家がいなくても、面倒臭くても苦しくても、それでも選挙には行かなければならないのだと思います。

ただ、そこで再三注意しておきたいのが、マスコミの報道、そして世間の空気です(「世論」というものも、その大半はマスコミによって作られていると考えても差し支えないと思います)。彼らは普段政治に関心の薄い無党派層に対して、いかにも耳障りのいい言葉によって世論誘導をしかけてくるので、気をつけるに越したことはありません。

そういう空気に振り回されない、一定の常識を持ち、国全体のことを考えられる「大多数の無党派層」、吉田松陰の言葉を借りれば「草莽の志士(草の根、在野の人間達)」が立ち上がって政治を動かす事が何よりも大事ではないかと僕は考えます。

(「常識」とは何かについては、それを論じるだけでかなりの分量になるので、また別の機会に譲ります。)

そうは言っても、時間も情報も限られた中で、実際には何を基準にして選挙に望めばいいのでしょうか。これはとてつもなく難しい問題です。

ということで、その基準となりそうなものを考えて行きましょう。



2.僕たちが選挙で選ぶのは、政党と政治家

当たり前の事ですが、今回僕達が投票所で選ぶのは、小選挙区から一人の政治家、そして比例代表から一つの政党となっています。そして政治家はそのほとんどがいずれかの政党に属していて、その他に無所属という方もいます。

(最高裁の裁判官の国民審査もありますが、ここでは国政選挙に絞ります。こちらの審査の制度はみなさんがお感じの通り、何の判断材料も提示されない極めていい加減な仕組みとなっていると思っています。)



3.信用できる情報はどこにあるのか

・政党の情報

そしてこれまた当然の事ながら、各政党には「政権公約」「マニュフェスト」などと名付けられた公約というものがあります。そして各候補者にもそれぞれの主張があります。

さて、ここで僕からの提案なのですが、みなさんにも自分の目で各政党の公約、各候補者の主張を直接ご覧になっていただきたいと思います。

選挙を取り扱っている報道各社のサイトでは、各政党の主張が比較されていて、見比べる上ではひとつの参考になると思います。しかしながら、そこに載っている文章はスペースの都合上ということもあるでしょうが、一部のみを切り取って掲載している場合がほとんどです。まるごとそのまま掲載しているのであればいいのですが、そうではない。それは誰かの手によって既に編集されたものなのです。

また、酷い場合だと、単純に「増税に賛成か反対か」、「TPPに賛成か反対か」、「原発は推進か撤廃か」、など幾つかの争点だけに絞って簡単な表を作っているページも見かけますが、これについても大いに注意する必要があるでしょう。

これは各政党の主張とも重なって来ますが、物事はそんなに単純では無いからです。後でも述べたいと思いますが、問題の単純化というものは、その周りにある複雑な事柄をすっ飛ばしてしまうので、その政党の意図を正確に伝えるどころか、誤った方向に持って行く可能性もあります。(またそれとは別に、最初から争点の単純化を狙っている政党もあります)


そこで、各政党の公約を簡単に集められるサイトがあるのでここに紹介しておきます。

選挙・議会・課題 政治情報プラットフォーム「政治山」
http://seijiyama.jp/special/shuinsen2012/party_hikaku.html

このサイトがどうという事ではなく、上記のページには各政党のHPや公約集のリンクが貼ってある為、容易に各政党のページに足を運べるようになっているというのがお薦めする点です。


・候補者の情報

次に候補者についてですが、ここからは各地域によって若干違いがあると思うので、ここでは僕の投票した選挙区(秋田1区)を例にして紹介したいと思います。

秋田1区
冨樫 博之 (57) 自民・新
寺田 学 (36) 民主・前
佐竹 良夫 (62) 共産・新
高松 和夫 (70) 未来・前
近江屋信広 (63) 維新・元

ここでもあくまでも直接彼らの主張を目にすることが大事です。地元にいるのであれば、候補者の演説を聞きにいくとか、事務所に直接質問をするなども出来ますが、僕は海外にいてそういう事が出来ないので、ネットから情報を集めました。


1.各候補者のHPを見る。

各候補者はそれぞれHPやブログ、ツイッターなどで情報発信をしていますが、選挙期間中は公職選挙法が適用されるため、更新は止まります。それでなくても元々更新をほとんどしていなかったり、主張が具体的に書かれていない場合が多いため、個人的にはあまり参考になりませんでした。みんな自分の事を良く見せるのは当然ですし。

2.地元の新聞のHPより、各候補者の主張を見る。

前回の記事では報道機関に注意しろと書きましたが、候補者の主張というものは編集されていない(はず)なので、参考にするならばここだと思います。地元紙を購読している方であれば、そこにも掲載されているでしょう。秋田だと魁新報という新聞が一番大きくて、僕もそこのHPを参考にしました。今見てみたら各候補者のインタビューも掲載されているので、こちらも見る価値がありそうです。

魁新報-2012あきた衆院選
http://www.sakigake.jp/p/special/12/shuinsen/


ということで、みなさんにも是非各政党の公約と各立候補者の主張を直接自分の目でご覧になっていただきたいと思います。


長くなって来たので回を分けます。
次回はその情報を元に、どう判断していくべきかを論じてみたいと思います。


続く


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