【衆院選ガイド4】優先順位と消去法


写真は今年の5月に撮影した気仙沼の様子です。


僕がノロノロと更新をしている間にも、選挙日が明日に迫ってきました。
書きたいことは他にも山程ありますが、なかなか思うように筆が進まないという歯がゆさがあります。


さて、ここまで来て薄々気が付いていたのですが、今回の記事にはどの位の人が付いて来ているのでしょうか。自分で読み返してみても、ああ文章がなげえなあと思うわけです。この文章を読んでくれている人がいるなら、それだけで既に十分政治に関心がある方なのだろうと思います。

「ああ何か難しくて面倒くせえ」と投げ出すのは簡単で、「原発反対、他のことは知らない、終了!」で思考を打ち切るのも簡単なんですよね。

しかし政治っていうものは相当複雑な世界なので、おいそれと簡単に語ることが出来ないのも事実でして、そこにジレンマがあったりするんですよね。僕も政治に関する知識はネットで集めているだけなので大したことはありませんが、それでも知れば知るほど、政治は奥が深くて容易ならざるものだと思い知らされます。


気を取り直して本日のメニューです。


4.入手した情報からどうやって判断するか
5.投票したいと思える政党、候補者がいないという苦しみ


ちなみに、今回は内容の性質上、僕の意見、考えが多分に含まれていますので、その点も考慮した上でお読みいただけたらと思います。


4.入手した情報からどうやって判断するか

前回までで、必要な情報はどこにあるのか、僕なりに考えたものをご紹介しました。ここではその情報を元にどういった判断ができそうかを論じて行きたいと思います。
この章ではさらに3つの項目に分けて考えてみます。


①耳障りのいい言葉には要注意、実現性がどこまであるのか
②その政党が政権を取ったらどうなるかを想像する
③政策には優先順位がある


①耳障りのいい言葉には要注意、実現性はどこまであるか

「言うは易し行うは難し」。

これはこの3年間の民主党政権で僕達が散々思いしらされたことなのではないでしょうか。

財源はあると言って大風呂敷を広げたマニュフェストであったけれど、蓋を開けてみれば、麻生政権で散々切り詰めた後だったので埋蔵金はどこにも無く、計上された予算は自民党時代よりも増えてしまっていました。沖縄にある米軍の基地の問題では、「最低でも県外」「腹案がある」「トラストミー」と大見栄を切っては見たものの、その結果は両国の関係を無駄に悪化させただけでした。

唯一の成果として今回のマニュフェストにも載っているのが公共事業の削減で、全体の3割も無駄をカットしたと言っていますが、それも先日の笹子トンネル崩落事故に象徴されるように、インフラの老朽化と来たる大地震に備えるための対策を怠っていた罪は大きいと思います。

この民主党政権のマニュフェストについては前回の時点で既に多くの批判がありました。つまり、選挙に勝つためだけに国民受けをしそうな政策ばかりを表看板に据えて、その実現性を党内できちんと議論していないのではないかと。本当に詐欺師の如く国民を騙そうとしたかどうかはともかく、結果は上に挙げた通り、散々なものでした。

景気対策、災害対応、公共インフラの維持管理など、政治の舵取り如何によって、人の命は左右されます。
そういった意味では、前回の選挙の教訓を生かすことが大切だと強く思います。


②その政党が政権を取ったらどうなるかを想像する

これも①と関連していますが、元々考え方が別々の人たちが選挙の直前に集まって作った政党というのは、僕としてはかなり疑ってかかりたいと思います。

理由は単純に選挙目当てで集まって来ただけに見えてしまうからです。「中央集権打倒」でも「卒原発」でも何でもいいのですが、その一点でまとまることは出来ても、政治課題はその他に山程あります。そういう政党は、最初の勢いがある間はいいかも知れませんが、求心力が低くなってくると、元々考え方が違う人達なので、また直ぐにバラバラになる可能性が極めて高いと言えると思います。ちなみに日本未来の党については、そのほとんどが民主党から離党した政治家で構成されています。

そもそも僕としては政党を作る以上、その前に政治家同士で十分に議論を重ねて欲しいと思う訳です。そして今の日本が抱える諸問題、それは必ずしも票につながるものだけではなく、細々とした所まで、意見を詰めて欲しい、その上で、志の共有できる人間で政党を作って欲しい。

これは一つの理想かも知れませんが、選挙の度に離合集散し、国民を騙し自分の心も騙しているようだと、いつまでたっても政治に対する信頼は取り戻せないし、そういう国民は不幸だと思います。だから僕達国民が、そういう茶番は通用しないということを示す必要があるのではないでしょうか。


③政策には優先順位がある

これも当たり前のことなのですが、取り組むべき課題には今直ぐにでも実行に移さなければならないものと、長い時間を掛けて少しずつ行なっていくものとがあります。

・震災復興とインフラ整備(国土強靭化)
・景気対策(デフレからの脱却、金融緩和、財政出動)
・教育改革(いじめ問題、日本は悪い国だという一方的な自虐史観の見直し)
・外交安全保障、防衛問題(拉致被害者の救出、領土問題)
・社会保証制度の見直し
・エネルギー政策の見直し(原発、化石燃料、再生可能エネルギー)
・地方の再生(地方分散)
・第一次産業(農林水産業)の活性化
・政治・行政・公務員改革
・憲法改正(戦後体制からの脱却)

上記は自民党の政権公約を参考にした、次の政権が取り組むべき課題の一部です(ここではその内容の是非を論評するものではありません)。


・何よりも被災地の復興、国土の強靭化、そして景気対策

この中で、例えば僕は何よりも震災からの復興、そしてインフラの再整備が最優先課題だと考えます。そしてその為に必要なのがデフレからの脱却、景気対策でしょう。言うまでもなく震災によって故郷を失った方々が一刻でも早く地元に戻ってもらえるよう、国は全力を挙げなければなりません。しかし前政権では震災の復興に計上された15兆円のうち、たった2兆円しか執行していないという話があります。

またインフラ整備についても、施設の老朽化と目前に迫っている大地震への対策が急務なのにもかかわらず、公共事業への投資はもう古いだとか、単なるバラマキだとか、完全に当ての外れた批判が未だに横行しています。そういう人たちには果たして僕達国民の生命・財産を思う気持ちはあるのでしょうか。

国民の生命・財産を守るという意味では拉致事件への取り組みも優先順位は高いはずです。数十年も前に北朝鮮から誘拐された日本人は100人以上いると言われていて、彼らは今この瞬間も日本から救援が来るのを信じて待っていることでしょう。

拉致問題を解決に導くためには、僕達には何ができるでしょうか。これまでと同じように6ヶ国協議を通じていたずらに時間を掛けて交渉するのが本当の解決への道なのでしょうか。こうしている間にも、拉致された方、そしてそのご家族も年齢を重ねて行きます。つい最近も、ある被害者の方のお母さんがお亡くなりになりました。

日本は平和だと言われてきましたが、自分の国の人間を拉致されて助けることも出来ないのです。また領土問題もそうです。これの一体どこが平和だと言えるのでしょうか。少し踏み込んだ発言をすると、憲法9条によって、僕たちの国は本当に平和に守られて来たのでしょうか。

僕は少なくとも自分の国は自分で守れるような国になるべきだと考えるので、その為に必要なことを考えていきたいと思います。


・原発、エネルギー問題について

一部の人達が盛んに争点にしようとしている、原発問題についてですが、もちろんこれも重要なテーマですが、上記の課題に比べると優先順位は低いと僕は考えています。

理由は2つあって、1つはいずれの政党もその期間に差はあれど、将来的な脱原発で一致しているため争点にはなりにくいということ。

2つ目は、脱原発への期間を設定するよりも、まずはより開かれた国民的議論が必要だと考えるからです。

ご周知の通り、原子力発電の性質上、発電を停止したからと言って事故のリスクが無くなる訳ではありません。冷却期間だけでも数十年かかると言われている訳で、いずれにしても長い時間をかけて向き合っていかなければならないこの問題を、今この選挙でメインのテーマとして扱うのは相応しくないと考えます(まずは景気対策、デフレからの脱却が先と考えるから)。それよりだったらこれ以上原発事故が起きないように、まずは徹底した津波対策と耐震化、そして老朽化のチェックが最優先だと僕は考えます。

原発が無くても電力が足りているという話を耳にしますが、それは家の中で電気を節約しただけで実現しているのでしょうか。その一方で化石燃料を外国から法外な値段で購入したり、電力を大量に使う企業がどれだけ身銭を切っているか、そういった問題も含めて論じられることは極めて少ないと思います。電気料金の値段がこれ以上高くなれば、企業の中には海外移転を考える所も出てくるでしょう。これで就職先が無くて困っている人、低賃金で働かされている人に何のプラスがあるでしょうか。むしろ景気にとってはマイナスになる可能性が高いと言えると思います。

もちろん放射能のリスクも恐いし、政府の言っていることは信用出来ないし、電力会社の体質も気に入らいないという感情も理解できます。そういった意味からも、次の政権には、まずは国土の強靭化、そして景気対策をしっかりしてもらい、その上で色んな立場の人、専門家、技術者を集めて、日本のこれからのエネルギー政策について腰を据えて議論を深めて行くべきではないかと考えます。


このように、専門的知識の無い僕のような者であっても、今この国にとって喫緊の課題は何かを自分なりに考えてみることはできますし、その上で各政党が何を言っているかを見比べて見ることで、投票する先を決める大きな手かがりとなるのではないでしょうか。

もちろん、ここで僕が挙げた景気対策以外の政策が全く受け入れられないとか、それ自体が単なる得票を目当ての政策だという考え方もあるでしょう。僕も自分が支持をする政党の公約が全て正しいとは思いません。ただ、僕にはここで全ての政策に対して細かく論じる余裕が無いので、その政策のバランスについては各自判断していただきたいと思います。


5.投票したいと思える政党、候補者がいないという苦しみ

これまで今回の選挙について、色々と論じてきましたが、それでもやっぱり政治家は信用出来ない、どの政党も同じに見える、そもそも政治に関心が持てない、という人がいるかと思います。

ただし、だからと言って大切な権利である選挙権を放棄するのだけは避けていただきたいと願います。それは前回述べた投票率との関係ということもあるのですが、そもそも政治とは妥協の産物であると僕は考えるからです。

この世には完璧な人間もいなければ完璧な政党も無いでしょう。また、各政治家は国全体の事を考えるという以外に、その地域、組織、団体の利権を守る、もしくは獲得するという使命も背負って国会にやって来ます。そしてその利益は当然人によって違います。そういう人達の集まりが国会で、表では議会でお互いの権益を主張し合い、裏ではまた料亭かどこかで様々な方法で取引も行われているのでしょう。それは国同士の話し合いでも同じで、外交においてはどの地点まで譲れるか、絶対に譲れないものは何かを設定し、交渉が行われているのだと思います。

白か黒かがハッキリしていれば分かり易い、でも現実の政治は僕たちの想像が追いつかないくらいもっと複雑でしょう。そのこんがらがった糸の塊を一つ一つ解いていくような作業である政治について、僕達一人ひとりもその責任の一端を担っているという事を考えるべきだと僕は思います。


政治は簡単じゃないし、また簡単であってはいけない。


僕の文章が堅くてだらだらと長くなってしまうのも、文章力が低いということを差し引いても、政治について語るのが簡単ではないからだと思います。

だから選挙において、いいと思える政党、政治家がいない場合は、各政党を見比べてみて、一番「まし」なところを選ぶという以外ないのかも知れません。言ってしまえば消去法ですが、その消去していく作業自体がとても大事なのではないでしょうか。

考えるのが面倒になって、簡単な答えを求めるその心の隙間を狙っている人たちが存在する以上、投げ出さず、考えて行けたらと思います。



出来れば明日の朝までにもう一本、まとめの記事を掲載したいと思っています。

続きます。



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