2015年2月25日水曜日

ヴェルニゲローデ その一


こないだの水と木曜日、一人でヴェルニゲローデ Wernigerode という小さな街を小旅行してきた。

本来は友人と二人の予定が、彼が急な発熱によりキャンセル。それ自体はとても残念だったけれど、一人旅はもともと好きだ。気を取り直して、彼の分まで十分に楽しんでこれたと思う。

ヴェルニゲローデはドイツの中央から少し北に位置しており、ベルリンからだとバスで3時間半。ドイツが東西に分裂していた時代は東ドイツ側だった。



Aの場所がヴェルニゲローデ


 
上の地図と見比べると、ヴェルニゲローデが旧西ドイツの目と鼻の先だったことが分かる。


街の比較
・ヴェルニゲローデ 面積 170.03km2 人口 約33,000人 人口密度 197人/km2
・ベルリン 面積 891.85km2 人口 約330万人 人口密度 3855人/km2
・秋田市 面積 905.67km2 人口 約32万人 人口密度 352人/km2

この比較からも、地方にある小さな都市という印象。


高速バスは非常に快適だった。日本のはどうなっているか分からないが、ドイツの高速バスには無料Wifiがついている。僕はiPod touchだからとても助かるのだが、どこに行ってもネットにつながるというのも考えものだ。僕はあまりにもネット漬けになり過ぎた。今回はパソコンを持ってこなかったが、iPod touchを置いての旅も一度考えた方がいいだろう。

でもこの機械、ネット以外にも音楽はもちろん、カメラやICレコーダー、オフライン用の地図等々、メモもできるし、本当に便利すぎる代物になってしまった。僕らの世代より上はまだポケベル、PHS、ケータイとその変遷を実際に経験しているからその違いが分かるが、初めからスマートフォンが当たり前に存在している世界に育つ世代の感覚とはどんなものだろうか。




ヴェルニゲローデの街並み。ベルリンでは見られない、木組みの建物。ここはハルツ山地の麓ということもあって、木が豊富に採れたのだろう。ドイツの北部など、木材がないところでは赤レンガを使っていたりして、その土地土地の特色が濃く表れるのも見ていて興味深い。




この可愛らしい建物が町庁舎。城と並んで、この街で最も有名な建築物。ドイツ語のウィキを参照すると、この庁舎の歴史は長く、1277年に演劇場と裁判所Spiel- und Gerichtshaus)として建てられたのが最初のようだ。その後、1521年の火災によって消失。1544年には再建築されて今の形に至る。特徴的な尖塔は1497年に新たに付けられたそうだ。それも一度はなくなったものの、それでもそこから470年経った今でも現役なのだから、建物との付き合い方というのも、日本とでは大きく違うのだろうと思う。室町時代に作られた建物が、単なる観光名所ではなく、町役場として今もなお利用されているという感覚。正直なかなか想像できない。


多分つづく



2015年2月24日火曜日

今後の展示

現時点で決まっている展示の予定


「Seelenspiegel/魂の鏡」
2015年3月25日(水)〜2015年4月30日(木)
Neue Kapelle im Königen Elisabeth Herzberge, ベルリン、ドイツ

オープニング:
2015年3月24日(火)18時〜

年末に絵を購入してくれた方からの紹介で、病院のカフェテリアで展示が出来る事になりました。
去年はカフェやバー、ホテルで展示して、病院でもやってみたいと思っていたところにこの話。
家から少し離れているので、オープニングの時以外で行けるか分かりませんが、また作品が出会いを運んできてくれると嬉しい。

旧作に加えて新作も展示する予定。

僕には新作を作る環境が必要なのです。



「FORM ART 2015」
2015年4月17日(金)〜2015年4月19日(日)
Bürgerhaus Glinde, グリンデ、ドイツ

こちらはハンブルクの中心から東に約20kmの小さな街での展示。
こちらでは毎年この時期になると、文化週間(Kulturwoche)が行われていて、それに合わせて大きなグループ展が開かれます。その申し込みが年末にあったので、応募してみたら運良く通り、晴れて展示の機会を得ました。

過去の様子を写真で見たら、いわゆるアートフェアのような華やかなものではなく、もっと地味ではあるのですが、まったく初めて会う人たちに作品を見せる場があるというのは嬉しいことです。

こちらはほとんどが旧作、数枚追加で新しいのを持って行きます。


2015年2月15日日曜日

深夜食堂

今日はドラマ「深夜食堂」について。

「深夜食堂」
この作品の舞台は、新宿・花園界隈の路地裏にあると設定されたマスター1人で切り盛りする小さな飯屋で、深夜0時から朝の7時頃までの深夜にしか営業しないことから、のれんには単に「めしや」と書かれているにもかかわらず常連客から「深夜食堂」と呼ばれている。メニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎しかないが、マスターができるものなら言えば何でも作ってくれる。この店を舞台に、マスターと客たちとの交流を描く。

第2回マンガ大賞2009第4位。2010年、第55回(平成21年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞。第39回日本漫画家協会賞大賞受賞。

2009年10月期から、MBS制作・TBS系で小林薫主演でテレビドラマ化され、2011年10月期から続編が放送された。2014年10月期から第3部が放送された。更に2015年1月31日に、劇場版公開が決定している。
ー以上、ウィキペディアより


もともとこのドラマの存在を知ったのは、西部邁ゼミナール。
監督の松岡錠司さんが映画の宣伝も兼ねてゲストで出ていて、
その話の内容がとても興味深く、引きつけられた。

その後すぐに、ドラマ版を30話全て見た。
一話目を見だしたらもう止まらなくなって、立て続けに見まくった。
本当は劇場版を見た上で考えたいところだが、それはもう少し先になりそうなので、
まずはドラマ版を見て考えたことを書き連ねる。



深夜食堂について、このドラマの良さってなんだろうと、ずっと考えていた。
ひとつ分かったことは、そこで表現されているのは、
日本人の「人情」なのではないかということ。

でも「人情」ってなんだろうか。
それこそ当たり前に聞く言葉ではあるが、改めて考えると、何とも言えなくなる。

辞書を引くと、
1.人間の自然な心の動き。人間のありのままの情感。
2.人としての情け。他人への思いやり。
となっている。

ちなみに英語訳は「human feelings」
でも、これだとよく分からない。


この中だと、僕は「情け」という言葉に感覚的な近さを覚える。

【情け】
1.人間味のある心。他人をいたわる心。人情。情愛。思いやり。
2.男女の情愛。恋情。また、情事。いろごと。
3.風情。おもむき。あじわい。
4.もののあわれを知る心。風雅を解する心。風流心。

これまたちなみに英語訳は
[同情] sympathy
[憐れみ] pity

となっていて、やっぱり英語だとしっくり来ない。


そしてここからは僕の推測と願望を兼ねて書くのだけど、
僕はこの【情け】の中にある【もののあわれ】という言葉に注目した。

【もののあわれ/物の哀れ】
本居宣長が唱えた、平安文学の美的理念。外界の「もの」と、それにふれた時にわき起こる感動の「あわれ」とが一致した所に生じる、しみじみとした情趣の世界を理念化した語。一般に、外界の事物にふれた時に生じる、しみじみとした情趣・哀感の意でも使う。

【情趣】
しみじみと落ち着いた気分やおもむき。

【しみじみ】
心の底から深く感じ入るさま。心に深くしみいるさま。

【哀感】
もの悲しい感じ。悲しみや哀れを誘う感じ。

もう分かる人も多いと思うが、
「情趣」という言葉は「情け」と「おもむき/趣」を合わせた言葉。
「哀感」の哀れは「物の哀れ」の哀れ。
「情け」を調べると「もののあわれ」が出てきて、
逆に「もののあわれ」を調べると、今度は「情け」が出てくる。

つまり、言葉ではこれ以上表現することが出来ないってことなのではないか。

何かものにふれた時に感じる、日本人独特の感情。
喜怒哀楽の中の哀。
単に悲しいとか切ないのとは違う、もっと味わいのある感覚。

これが本当に日本人だけにあるものかは分からないが、
少なくとも欧米の人々には見られないものだろう。
思いやり、慈愛、悲しさ、切なさなどは欧米にもあるが、
彼らのそれは、もっとカラッとしたものがあるように思う。

そこは気候も影響しているのかも知れない。

ちなみに、前述の本居宣長はそういった日本人独特の精神を、
「やまとごころ」と表現し、以下のような詩を残している。

「敷島のやまとごころを人問はば朝日に匂う山桜花」
※敷島とは日本のこと。

僕自身、源氏物語を読んだこともなければ、
本居宣長の著作にまだ手を付けていないので、
「もののあわれ」については辞書以上のことが言えないが、
「深夜食堂」を見ていると、おそらく多くの外国人とは共有できないけれど、
日本人同士でなら随分と共有できるものがそこにあると思う。

単純にどっちが優れているとかそういうことではなくて、
自分とすれば、そういう感覚をなんとなくでも理解して味わうことができることに喜びを感じる。

そして「深夜食堂」は、そういった日本人特有の、
言葉にならないところでの気持ちのやり取りを上手に拾い上げて表現しているから、
それを見る多くの日本人の心を捉えるのではないか。




映画『深夜食堂』公式サイト
http://meshiya-movie.com/

西部邁ゼミナール
「松岡錠司が探る人間ドラマの深奥1」
http://s.mxtv.jp/nishibe/archive_detail.php?show_date=20150118