深夜食堂
今日はドラマ「深夜食堂」について。
「深夜食堂」
この作品の舞台は、新宿・花園界隈の路地裏にあると設定されたマスター1人で切り盛りする小さな飯屋で、深夜0時から朝の7時頃までの深夜にしか営業しないことから、のれんには単に「めしや」と書かれているにもかかわらず常連客から「深夜食堂」と呼ばれている。メニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎しかないが、マスターができるものなら言えば何でも作ってくれる。この店を舞台に、マスターと客たちとの交流を描く。
第2回マンガ大賞2009第4位。2010年、第55回(平成21年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞。第39回日本漫画家協会賞大賞受賞。
2009年10月期から、MBS制作・TBS系で小林薫主演でテレビドラマ化され、2011年10月期から続編が放送された。2014年10月期から第3部が放送された。更に2015年1月31日に、劇場版公開が決定している。
ー以上、ウィキペディアより
もともとこのドラマの存在を知ったのは、西部邁ゼミナール。
監督の松岡錠司さんが映画の宣伝も兼ねてゲストで出ていて、
その話の内容がとても興味深く、引きつけられた。
その後すぐに、ドラマ版を30話全て見た。
一話目を見だしたらもう止まらなくなって、立て続けに見まくった。
本当は劇場版を見た上で考えたいところだが、それはもう少し先になりそうなので、
まずはドラマ版を見て考えたことを書き連ねる。
深夜食堂について、このドラマの良さってなんだろうと、ずっと考えていた。
ひとつ分かったことは、そこで表現されているのは、
日本人の「人情」なのではないかということ。
でも「人情」ってなんだろうか。
それこそ当たり前に聞く言葉ではあるが、改めて考えると、何とも言えなくなる。
辞書を引くと、
1.人間の自然な心の動き。人間のありのままの情感。
2.人としての情け。他人への思いやり。
となっている。
ちなみに英語訳は「human feelings」
でも、これだとよく分からない。
この中だと、僕は「情け」という言葉に感覚的な近さを覚える。
【情け】
1.人間味のある心。他人をいたわる心。人情。情愛。思いやり。
2.男女の情愛。恋情。また、情事。いろごと。
3.風情。おもむき。あじわい。
4.もののあわれを知る心。風雅を解する心。風流心。
これまたちなみに英語訳は
[同情] sympathy
[憐れみ] pity
となっていて、やっぱり英語だとしっくり来ない。
そしてここからは僕の推測と願望を兼ねて書くのだけど、
僕はこの【情け】の中にある【もののあわれ】という言葉に注目した。
【もののあわれ/物の哀れ】
本居宣長が唱えた、平安文学の美的理念。外界の「もの」と、それにふれた時にわき起こる感動の「あわれ」とが一致した所に生じる、しみじみとした情趣の世界を理念化した語。一般に、外界の事物にふれた時に生じる、しみじみとした情趣・哀感の意でも使う。
【情趣】
しみじみと落ち着いた気分やおもむき。
【しみじみ】
心の底から深く感じ入るさま。心に深くしみいるさま。
【哀感】
もの悲しい感じ。悲しみや哀れを誘う感じ。
もう分かる人も多いと思うが、
「情趣」という言葉は「情け」と「おもむき/趣」を合わせた言葉。
「哀感」の哀れは「物の哀れ」の哀れ。
「情け」を調べると「もののあわれ」が出てきて、
逆に「もののあわれ」を調べると、今度は「情け」が出てくる。
つまり、言葉ではこれ以上表現することが出来ないってことなのではないか。
何かものにふれた時に感じる、日本人独特の感情。
喜怒哀楽の中の哀。
単に悲しいとか切ないのとは違う、もっと味わいのある感覚。
これが本当に日本人だけにあるものかは分からないが、
少なくとも欧米の人々には見られないものだろう。
思いやり、慈愛、悲しさ、切なさなどは欧米にもあるが、
彼らのそれは、もっとカラッとしたものがあるように思う。
そこは気候も影響しているのかも知れない。
ちなみに、前述の本居宣長はそういった日本人独特の精神を、
「やまとごころ」と表現し、以下のような詩を残している。
「敷島のやまとごころを人問はば朝日に匂う山桜花」
※敷島とは日本のこと。
僕自身、源氏物語を読んだこともなければ、
本居宣長の著作にまだ手を付けていないので、
「もののあわれ」については辞書以上のことが言えないが、
「深夜食堂」を見ていると、おそらく多くの外国人とは共有できないけれど、
日本人同士でなら随分と共有できるものがそこにあると思う。
単純にどっちが優れているとかそういうことではなくて、
自分とすれば、そういう感覚をなんとなくでも理解して味わうことができることに喜びを感じる。
そして「深夜食堂」は、そういった日本人特有の、
言葉にならないところでの気持ちのやり取りを上手に拾い上げて表現しているから、
それを見る多くの日本人の心を捉えるのではないか。
映画『深夜食堂』公式サイト
http://meshiya-movie.com/
西部邁ゼミナール
「松岡錠司が探る人間ドラマの深奥1」
http://s.mxtv.jp/nishibe/archive_detail.php?show_date=20150118
「深夜食堂」
この作品の舞台は、新宿・花園界隈の路地裏にあると設定されたマスター1人で切り盛りする小さな飯屋で、深夜0時から朝の7時頃までの深夜にしか営業しないことから、のれんには単に「めしや」と書かれているにもかかわらず常連客から「深夜食堂」と呼ばれている。メニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎しかないが、マスターができるものなら言えば何でも作ってくれる。この店を舞台に、マスターと客たちとの交流を描く。
第2回マンガ大賞2009第4位。2010年、第55回(平成21年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞。第39回日本漫画家協会賞大賞受賞。
2009年10月期から、MBS制作・TBS系で小林薫主演でテレビドラマ化され、2011年10月期から続編が放送された。2014年10月期から第3部が放送された。更に2015年1月31日に、劇場版公開が決定している。
ー以上、ウィキペディアより
もともとこのドラマの存在を知ったのは、西部邁ゼミナール。
監督の松岡錠司さんが映画の宣伝も兼ねてゲストで出ていて、
その話の内容がとても興味深く、引きつけられた。
その後すぐに、ドラマ版を30話全て見た。
一話目を見だしたらもう止まらなくなって、立て続けに見まくった。
本当は劇場版を見た上で考えたいところだが、それはもう少し先になりそうなので、
まずはドラマ版を見て考えたことを書き連ねる。
深夜食堂について、このドラマの良さってなんだろうと、ずっと考えていた。
ひとつ分かったことは、そこで表現されているのは、
日本人の「人情」なのではないかということ。
でも「人情」ってなんだろうか。
それこそ当たり前に聞く言葉ではあるが、改めて考えると、何とも言えなくなる。
辞書を引くと、
1.人間の自然な心の動き。人間のありのままの情感。
2.人としての情け。他人への思いやり。
となっている。
ちなみに英語訳は「human feelings」
でも、これだとよく分からない。
この中だと、僕は「情け」という言葉に感覚的な近さを覚える。
【情け】
1.人間味のある心。他人をいたわる心。人情。情愛。思いやり。
2.男女の情愛。恋情。また、情事。いろごと。
3.風情。おもむき。あじわい。
4.もののあわれを知る心。風雅を解する心。風流心。
これまたちなみに英語訳は
[同情] sympathy
[憐れみ] pity
となっていて、やっぱり英語だとしっくり来ない。
そしてここからは僕の推測と願望を兼ねて書くのだけど、
僕はこの【情け】の中にある【もののあわれ】という言葉に注目した。
【もののあわれ/物の哀れ】
本居宣長が唱えた、平安文学の美的理念。外界の「もの」と、それにふれた時にわき起こる感動の「あわれ」とが一致した所に生じる、しみじみとした情趣の世界を理念化した語。一般に、外界の事物にふれた時に生じる、しみじみとした情趣・哀感の意でも使う。
【情趣】
しみじみと落ち着いた気分やおもむき。
【しみじみ】
心の底から深く感じ入るさま。心に深くしみいるさま。
【哀感】
もの悲しい感じ。悲しみや哀れを誘う感じ。
もう分かる人も多いと思うが、
「情趣」という言葉は「情け」と「おもむき/趣」を合わせた言葉。
「哀感」の哀れは「物の哀れ」の哀れ。
「情け」を調べると「もののあわれ」が出てきて、
逆に「もののあわれ」を調べると、今度は「情け」が出てくる。
つまり、言葉ではこれ以上表現することが出来ないってことなのではないか。
何かものにふれた時に感じる、日本人独特の感情。
喜怒哀楽の中の哀。
単に悲しいとか切ないのとは違う、もっと味わいのある感覚。
これが本当に日本人だけにあるものかは分からないが、
少なくとも欧米の人々には見られないものだろう。
思いやり、慈愛、悲しさ、切なさなどは欧米にもあるが、
彼らのそれは、もっとカラッとしたものがあるように思う。
そこは気候も影響しているのかも知れない。
ちなみに、前述の本居宣長はそういった日本人独特の精神を、
「やまとごころ」と表現し、以下のような詩を残している。
「敷島のやまとごころを人問はば朝日に匂う山桜花」
※敷島とは日本のこと。
僕自身、源氏物語を読んだこともなければ、
本居宣長の著作にまだ手を付けていないので、
「もののあわれ」については辞書以上のことが言えないが、
「深夜食堂」を見ていると、おそらく多くの外国人とは共有できないけれど、
日本人同士でなら随分と共有できるものがそこにあると思う。
単純にどっちが優れているとかそういうことではなくて、
自分とすれば、そういう感覚をなんとなくでも理解して味わうことができることに喜びを感じる。
そして「深夜食堂」は、そういった日本人特有の、
言葉にならないところでの気持ちのやり取りを上手に拾い上げて表現しているから、
それを見る多くの日本人の心を捉えるのではないか。
映画『深夜食堂』公式サイト
http://meshiya-movie.com/
西部邁ゼミナール
「松岡錠司が探る人間ドラマの深奥1」
http://s.mxtv.jp/nishibe/archive_detail.php?show_date=20150118
石塚さま
返信削除突然のコメントで失礼します
わたしは数年前に姉と偶然画像検索で石塚さんの絵画を拝見しまして、衝撃を受けたことでした
最近姉のTwitterアカウントから石塚さんのアカウントを見つけ、再び思い出す事が出来た嬉しさでこちらに書き込ませて頂きました
石塚さんのTwitterアカウントはもう機能されていないのでしょうか
乱文で申し訳ありません
石塚さんの御活躍を願っています
Nakahara.
Nakaharaさん
削除ご連絡どうもありがとうございます。
そうですね、Twitterはアカウントを作ってみたものの、性に合わず全然使っていません。
それよりはまだfacebookの方が、展示案内などを出すなど若干ですが機能させています。
このブログの更新は、ご覧の通りかなり気まぐれ。
メディアを活用する目的にもよりますが、僕にはやっぱり一対一の対話が一番しっくり来るんですよね。
なので、なにかお尋ねしたいことがあれば、直接メールでも貰えたらと思います。
応援、どうもありがとうございます。
石塚