デッサン教室 その五

第五回目



今回の題材は流木。

この教室も今回を含めてあと三回、そして次回は人物画、最終回は遠近法ということで、静物画は今日で最後となることもあり、自分の得意な木炭で描くことにした。

流木はその形が既に魅力的で、想像力を働かせることでいかようにも見ることができる。僕はこの流木を鳥に見立てて構図を決めた。

木炭は僕の線を表すための非常に重要な画材だ。

僕の絵は混沌とした色を背にし、時に太くて強い、また時には細くて弱い線が縦横無尽に駆け回る、というのが基本になっているのだが、その線を描くのに、最初 はバスキアの真似で油絵の具を固めたオイルスティックを使っていた。それがアクリルの黒で描く時期を経て、今ではほぼ木炭を使用している。

今思い起こしてみると、その理由として考えられるのは、他の画材に比べて、色の濃淡を自由に調整できるからなのだと思う。木炭との出会いによって、自分のいいと思うまで、線の調子を整えることができるようになった。

本来、木炭はデッサンや下絵に主に使用されるのだが、僕は全く違う、自分の文脈の中でそれに出会った。それが今こうして本来の使われ方をする。


一枚目に並んで、こちらもこれまででベストと感じられる習作(野菜か果物の乾物)。

うまく言葉で表現するのは難しいが、僕の内側の成分がジワジワとにじみ出ていて、自分で見ていて飽きない。まさに、グッと来る、というやつだ。

普段は自分の好きな画材しか使っていないから気が付かないが、色々と他の画材を試すことで、その自分に合った画材、もしくは得意分野が浮き彫りになる。僕だって一応、油絵の具やインクや水彩画なんかも試しで使ったことはある。14年間絵を描いてきて、画材も自然と定まって来たのだろう。

ちょっといつもと違うものを見ることで、いつも見ているものが当たり前なんかじゃなく、自分で選んだ結果なのだと分かるのだ。

それが今後も変わらない保証なんてどこにも無いが、自分の立っている場所を再確認、それも強く、ハッキリと自覚することができた。



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