富と名声

富や名声・名誉など僕には関係ない等と思いながら、実際には気になるところがある。また、そういう意味で成功を収める人には時折嫉妬してしまう自分がいるので、この際だから、その辺りを洗い出してみようと思う。

1.富はどのくらい手にしたいと思っているか。
上を見ればキリがないけれど、まずは絵、そしてできれば言葉も生業として生活が維持できるようになることが望ましい。そして適度に旅行ができ、年に一度もしくは二度は日本に帰ることができ、願わくば家族を持った時に彼らを養えるだけの収入。そしてさらに願わくば、大事な人を少しだけ助けてあげられるだけの収入。

別に世のため人のためにお金が必要などとキレイ事を言うつもりはない。でも僕はありがたいことに十分自分のやりたい事をやれているし、その分、本来は親を少しでも楽させてあげるだけの収入を得ていてもおかしくない年頃なのだが、そうはなっていないことへの罪悪感もある。だから、もっとお金があれば親に生の充実を味わってもらうための何か(基本は旅行だと思う)をしてあげたいという気持ちが大きい。

特別大金持ちになりたいという訳ではない。むしろ「富や名声」という場合の「富」という言葉が否定的な印象を持っていて、それを望むことが浅ましいことのように感じるが、そこまで卑屈にならなくてもいいのかもしれない。

それは貧困で苦しんでいる多くの人の前では贅沢な望みかもしれないが、現在の僕の状況を客観視した時に、欲に溺れているという水準のものには全く見えない。その点を僕はもっと素直に受け入れてもいいのではないか。


2.名声はどれだけ欲しいか?
名声というと、世間で高い評価を受ける、有名になるということを指すが、僕にはそういう願望はほとんどない。 これ自体は嘘ではないのだけれど、ただ、何かで功績を上げて有名になる人を羨ましいと思うことがあり、その度に自分の器の小ささを感ずるのも事実。

小さな頃は目立ちたがり屋だったし、人に注目されること自体は嫌ではない。画家として有名になるにはどうしたらいいかと本気で考えた時期もある。でも純粋に自己を磨くこと、高みに登ることを生きる指針とした時から、有名になるために活動することへの動機が無くなった。有名になって名誉欲を満たすことが僕の生きがいではないからだ。僕にはそれよりも、もっともっと大事なものがある。

それでもやっぱり隣の芝が青く見える時もある。これは人間の業なのかもしれないが、そうやって開き直るのもどうかという思いもある。いずれにしても、好き嫌いに関係なく、自分の心の中にはそういう感情があるということを認めて、なるべくそういう思いに心を煩わされる時間を少なくすることが大事なのだろう。

それとは別に、僕は僕の作品を、僕の事を他者から見つけてもらいたいという願望がある。僕はこれまでも、自分の作品を通じてかけがえのない数々の出会いを経験してきた。これはもう、奇跡と言っても言い過ぎでないような事柄で、僕の作品が新たな出会いを引き寄せるのだ。その場合、僕にできることは作品を人の目に付く所まで持って行くことで、あとは他者に僕の作品を見つけてもらうのをひたすら待つ。

間接的には名声に繋がることなのかもしれないが、有名になるかどうかよりも、どれだけ人に見つけてもらえるか、それが僕にとって大切なことなのだ。

それはもちろん、単に数が多ければいいというものではなく、 それが互いにとって素晴らしい出会いかどうかが重要なのは言うまでもない。


結論:
自分の中ではいつもの答えが繰り返されるだけなのだが、改めてそのことに思いを至らせるのは決して無駄なことではない。

日々の生活の中で、様々な知らせを耳にし、感情の揺れもある、そもそもその時の心持ちにも影響を受ける。そんな折に、普段は考えないようにしている富や名声についての欲のようなものがこみ上げてくることだってあるのだ。

そして少しの間、胸の内が悶々とし、スッキリとしない状態が続き、最終的には、いつもの考えに辿り着いて心の落ち着きを取り戻す。

僕が望むささやかな富や、人との出会い、これを手に入れるには、具体的には展示をするなどして、人目につくような場に持って行くことが重要だろう。これはこれで地道に行っていく必要がある。

でも本質的には、これは一見矛盾するようだが、富や出会いを求めようとするなら、その考えからは距離を置いて、目の前のことに集中するのが何よりの近道なのだ。(厳密には、近道というよりも、これ以外に最善の方法がない)


自分の道をひたすら極めること。

改めて、僕は孤独を覚悟しなくてはならない。


真摯に向き合うことができていれば、その足跡に美しい花が咲くこともあるだろう。

そしてそれに価値を見出す人も現れるだろう。


僕はそれを信じて、先を急ごう。



コメント

このブログの人気の投稿

[Ausstellung] "Partnerstädtische Bindeglieder -zwischen Akita und Passau"

【旅行記】「イスラエル編 聖地エルサレム」 Part1

【展示】ある事務所での展示 / eine Ausstellung in einem Büro